「ホワイトアンドイエローに興味があるけど、どのような外見の特徴や遺伝の特徴があるの?」
「ホワイトアンドイエロー・シンドローム(神経症状/障害)について知りたい!」
そんな人のために、2015年からヒョウモントカゲモドキ(レオパードゲッコー、以下レオパ)に囲まれて暮らしている私、のの(X:@leopalife Instagram:@nono_leopalife)がレオパの品種(モルフ)の【ホワイトアンドイエロー】についてご紹介します。
ホワイトアンドイエローはコンボモルフにも数多く含まれている品種です。
ホワイトアンドイエローはエニグマに似た外見であるにも関わらず、エニグマ特有の神経症状が出ないということで一躍人気になりました。
しかし、最近ではホワイトアンドイエローはエニグマとは少し異なるホワイトアンドイエロー特有の神経症状(ホワイトアンドイエロー・シンドローム)を現すことが確認されています。
ただ、ホワイトアンドイエローの場合は、ホワイトアンドイエローの遺伝子とホワイトアンドイエロー・シンドロームは切り離して考えられる可能性もあるということで、研究が進んでいます。
この記事では、ホワイトアンドイエローの特徴と遺伝、そして、ホワイトアンドイエロー・シンドロームを解説します!
ホワイトアンドイエローの飼い主さんであるHさんから、ホワイトアンドイエロー・シンドロームの一部である症状の動画もいただいていますので、後でご紹介します。
さて、前書きが長くなってしまいましたが、ホワイトアンドイエローについてのポイントは以下の通りです。
ホワイトアンドイエローは、不規則に入るスポットや背に白抜けが入ることなどが特徴です。
遺伝は、他の品種との組み合わせで模様がランダムに乱れますが、よくわかっていないことが大半です。
ホワイトアンドイエロー特有の神経症状の特徴は、上に反り返りながらバランスを崩したり、首を上下に振ったりするものが多くあります。
ホワイトアンドイエロー特有の神経症状は、ホワイトアンドイエローの遺伝子と分離することが可能であると研究が進められています。
それでは、ホワイトアンドイエローについて詳しく見ていきましょう!
ホワイトアンドイエローをわかりやすく!
ホワイトアンドイエローはレオパの中では珍しく、東ヨーロッパのベラルーシにある Prohorchik Reptiles 社によって、生み出された品種です。
また、ホワイトアンドイエローは、White & Yellow から「W&Y」や「W/Y」と略されることが多いです。
ここでは、ホワイトアンドイエローの特徴と遺伝について解説します!
ホワイトアンドイエローの特徴
ホワイトアンドイエローはよく「エニグマの外見に似ている」「ハイポタンジェリンにエニグマを足したような見た目のモルフ」と言われます。
しかし、エニグマというモルフがピンとこない方も多いと思う(私がそうだった)ので、具体的な特徴を解説します!
ハイポタンジェリンについては【コチラの記事】も参考にしてくださいね。
ホワイトアンドイエローの特徴をまとめると、以下の通りです。
- 幼体の時は、黄色みが強い個体と白色が強い個体がいます。
- 成長するにつれて体にスポットが現れてきます。
- 目の虹彩が、薄いグレーであることが多いです。
- スポットが不規則に全身に散りばめられます。
- 体の側面や手足などが白く色抜けする個体が多いです。
- 全体的な体色が明るく、白みが強い印象の色合いになります。
- 背の中心線に沿って色が抜ける傾向もあります。
ちなみに、エニグマの見た目についても気になると思うので、ここでご紹介すると次の通りです。
- 全身に薄紫、白、オレンジなどの固まった色素がランダムに散らばります。
- 黒いスポットも一部が塊のようになって全身に散ります。
- 尻尾のバンド模様は消失し、細かな胡椒のようなスポットが散ります。
- 目の虹彩の色が濃く、潤んだ黒い色合いです。
エニグマとホワイトアンドイエローを比較すると、次の通りになります。
- 目の虹彩の色合いが異なります。
- ホワイトアンドイエローの方がスポットの数が少なく、大きさはやや大きくなる傾向にあります。
ちなみに、不規則に散るスポットの数や大きさなどは「遺伝」というより「個体差」と考えられています。
ホワイトアンドイエローの遺伝
ホワイトアンドイエローの遺伝については、ブリーダーさんや研究者さんによって少し解説が異なります。
具体的には
- 優性遺伝する?
- 共優性遺伝する?
- 多因性遺伝(ポリジェネティック)なの?
というところで、本やサイトによって書いていることが異なるのです。
実際のところ、ホワイトアンドイエローの遺伝はあまり良くわかっていないようです。
まず、私がいつも参考にしている【ヒョウモントカゲモドキ完全飼育: 飼育・繁殖・さまざまな品種のことがよくわかる (PERFECT PET OWNER’S GUIDES)
ホワイトアンドイエローは優性遺伝です。
そのため、他の品種との組み合わせでコンボに変わった模様の乱れが現れます。
ただ、ホワイトアンドイエローは単純な優性遺伝ではなく、共優性遺伝の可能性があります。
なぜなら、ホワイトアンドイエローとノーマルの組み合わせでは、子が明らかなノーマルではないがホワイトアンドイエローというには特徴が弱い個体が出現することがほとんどだからです。
一方で、ホワイトアンドイエロー同士の組み合わせでは、顕著なホワイトアンドイエローが出現します。
この「顕著なホワイトアンドイエロー」は、共優性遺伝のスーパー体なのかもしれません。
といったことが書かれています。
つまりは、優性遺伝なの?共優性遺伝なの?というところです。
一方で、かの有名なブリーダーであるトレンパー氏が執筆された【レオパードゲッコーモルフ大全
実績のあるブリーダーたちによる交配や研究から、ホワイトアンドイエローは強いポリジェネティック形質であることがわかります。
ホワイトアンドイエローの特徴が強く現れている個体からは、同じくホワイトアンドイエローの特徴が強く現れている子孫を残します。
しかし、ホワイトアンドイエローの子孫の中には、特徴があまり出ていない個体も存在します。
その「特徴があまり出ていない個体」を用いて繁殖を行うと、ホワイトアンドイエローの特徴が現れなくなります。
そのため、ホワイトアンドイエローは優性遺伝ではなく、ポリジェネティックであると結論づけられます。
といったことが書かれています。
つまり、優性遺伝でも共優性遺伝でもなく、ホワイトアンドイエローはポリジェネティック(多因性遺伝)だ!と結論づけられているのです。
結局のところ、どういう特徴があるのか、プチ混乱を起こしてしまいそうですね。
ここでは、確実に言える以下のポイントだけを押さえておきましょう!
ホワイトアンドイエローは、他の品種との組み合わせでコンボに変わった模様の乱れが現れます。
ホワイトアンドイエローの特徴が強く現れている個体同士の掛け合わせでは、ホワイトアンドイエローの特徴が強く現れている子が生まれます。
長々とホワイトアンドイエローの遺伝についてここまで書いてきましたが、この2つのことだけは確実に言えるようです。
今後の研究によって、より正確な「ホワイトアンドイエローの遺伝のかたち(遺伝形式)」が解明されていくでしょう。
ホワイトアンドイエロー・シンドローム(神経症状/障害)について
ホワイトアンドイエローは「エニグマに似ているにも関わらず、エニグマ特有のような神経症がない」とされてきました。
しかし、2017年頃にホワイトアンドイエロー特有の神経症状「ホワイトアンドイエロー・シンドローム(WSと略されます)」があることがわかってきました。
ホワイトアンドイエロー・シンドロームは、エニグマ特有の症状であるエニグマ・シンドローム(ESと略されます)と同じく「神経症」とされています。
しかし、ホワイトアンドイエロー・シンドロームとエニグマ・シンドロームは、症状が異なります。
ホワイトアンドイエロー・シンドロームの症状と特徴は、以下の通りです。
- 上を向くように反り返りながらバランスを崩します。
- 首を上下に振る傾向があります。
- 瞳の焦点が定まっていないことが多いです。
- 症状を示していない個体が、後天的に発症することはありません。
エニグマは左右にバランスを崩して回転しがちですが、W&Yは上に反り返りながらバランスを崩すイメージです。
エニグマ・シンドロームは、エニグマの遺伝子に紐付いた神経障害であり、エニグマの遺伝子と神経症状を分離することは不可能とされていますが、ホワイトアンドイエロー・シンドロームは異なるという研究がされています。
つまり、ホワイトアンドイエロー・シンドロームは、ホワイトアンドイエローの遺伝子に紐付いておらず、ホワイトアンドイエローと神経症状を分離することが可能だということです。
この、ホワイトアンドイエロー・シンドロームの繁殖における除去方法については【こちらの記事(外部サイト)】で詳しく説明されているので、興味のある方はこちらをご覧ください。
ちなみに、W&Yを遺伝子として含んでいないのにも関わらず、WSを発症した個体が存在するそうです。
無作為な繁殖を行った場合に、ホワイトアンドイエロー・シンドロームが蔓延する恐れがあるということを、繁殖を視野に入れるなら肝に銘じなければなりません。
「ホワイトアンドイエロー」というモルフが世に出てきた当初は、ホワイトアンドイエロー・シンドロームは存在しなかったということは、人間による無作為な繁殖によって生み出してしまった神経障害なのかもしれませんね…。
ホワイトアンドイエローをご紹介
レオパ紹介をさせてください!と SNS でお声かけしたところ…
- Hさんが”merci(メルシー)ちゃん”
のお写真を貸してくださいました。
また、神経症状の参考になれば…と動画もいただいています。
Hさん、ありがとうございます!
ホワイトアンドイエローの”merci(メルシー)ちゃん”
ホワイトアンドイエローの特徴である明るい体色がよくわかりますね。
また、背の中心線に沿ったライン状の色抜けもはっきりと現れています。
こちらを見つめるお顔がとても愛らしくて、綺麗な瞳に吸い込まれそうですね。
お迎え当時のお写真もいただいたので、左上に表示していますが、やはり幼い時の方が明るい体色をしています。
そして、飼い主のHさんに、merciちゃんの「ホワイトアンドイエロー・シンドローム」について詳しく教えていただきましたので、ご紹介します。
merciちゃんは、約2年前(2022年頃)に現在の飼い主さんであるHさんによってお迎えされました。
購入の際に、ホワイトアンドイエロー・シンドロームについて、店員さんから「出る子も居れば出ない子も居る」と説明があったそうです。
また、その店員さんからは「モルフが作り出された当初はシンドロームが出ないとされていたが、近年発現する個体も存在する」という事も聞いたそうです。
merciちゃんは、お迎え時には「シンドロームは発現してない」と言われていたそうですが、現在はふらつきが給餌の時によく見られるそうです。
シンドロームの頭のふらつきと後肢が伸びきってる状態の動画を頂いたので、参考にご覧ください。
「可哀想…」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、一生懸命生きている「ひとつの命」です。
完全に余談ですが、私(のの)自身が障害を持っていますし、私も下半身奇形のレオパを飼育しています。
こんな子もこの世にいるんだな〜
みんな頑張って生きてるよな〜
と、そんな感じで見ていただけると嬉しいなと思います。
飼い主のHさん曰く、「給餌のタイミングが結構難しい」とのことです。
ホワイトアンドイエロー・シンドロームは、基本的に「症状を示していない個体が、後天的に発症することはない」という特徴があるので、もしかしたら「捕食時」という興奮時に普段あまり現れていない症状が顕著になっているのかもしれませんね。
しっかり餌を食べて元気に過ごしてくれることを願います!
まとめ:ホワイトアンドイエロー
ホワイトアンドイエローをご紹介しましたが、いかがでしたか?
もう一度、まとめておくと…
ホワイトアンドイエローは、不規則に入るスポットや背に白抜けが入ることなどが特徴です。
遺伝は、他の品種との組み合わせで模様がランダムに乱れますが、よくわかっていないことが大半です。
ホワイトアンドイエロー特有の神経症状の特徴は、上に反り返りながらバランスを崩したり、首を上下に振ったりするものが多くあります。
ホワイトアンドイエロー特有の神経症状は、ホワイトアンドイエローの遺伝子と分離することが可能であると研究が進められています。
レオパは皆、本当に可愛いですし「この子の子孫を残したい!」という気持ちはよくわかります。
ホワイトアンドイエローに限らずですが、無作為な繁殖は障害を持つレオパを生み出してしまう可能性があるのです。
今では大人気のスーパーマックスノーでさえ作り出された当初は、鼻の穴が塞がっていたり鼻先の腫瘍問題が数多くあったそうです。
しかし、今ではスーパーマックスノーに関する問題はほとんど聞きませんよね。
ホワイトアンドイエローもブリーダーや繁殖を試みる人々がしっかりと管理していけば、「ホワイトアンドイエロー・シンドローム」が過去の話になるかもしれません。
一言で「ホワイトアンドイエロー」と言っても、その特徴は個体差がありますし、数えきれないほどのコンボモルフも生み出されています。
ぜひ、自分にとっての「1匹」を見つけてくださいね。
参考図書
みんなのレオパをご紹介させてください!
X(旧Twitter)や Instagram にて、レオパを飼育されてる人にお声かけをさせていただいておりますが、まだまだ品種カテゴリーを充実させていきたいと考えております!
ぜひ、皆さんのレオパちゃんを紹介させてください。
更新がゆっくりなので、かなりお待たせしておりますが、気長にお待ちくださいね。
のの(X:@leopalife Instagram:@nono_leopalife)まで、是非ご連絡をお待ちしております。